養子縁組届を前にして、どの欄を自分が書き、証人欄に誰が何を書くのか迷う方は少なくありません。用紙は全国共通ですが、記入する欄は届出人本人・証人・役場でそれぞれ分かれています。

本記事は普通養子縁組の届出を対象に、養子縁組届の書き方を各欄の記入例・証人欄・訂正方法の順に解説します。必要な情報と証人2名の情報が揃っていれば、記入そのものは短時間で済むはずです。なお、特別養子縁組は家庭裁判所の審判による手続きで、ここで解説する証人欄のある届出書とは様式が異なります(両者の違いはこちら)。

養子縁組届を書く前に準備するもの

記入に取りかかる前に必要なものを手元に揃えておくと、書き間違いや記入漏れを防げます。

まず、以下の情報を確認しておきましょう。

  • 養親・養子それぞれの本籍地 — 戸籍謄本または本籍記載ありの住民票で確認します。本籍地は現住所と異なることが多いため、事前確認が欠かせません。
  • 養親・養子それぞれの生年月日と戸籍の筆頭者 — 戸籍のとおりに正確な記載が必要です。
  • 養子の父母の氏名 — 実父母の氏名を書く欄があります。
  • 証人2名の氏名・住所・本籍地・生年月日 — 証人になってもらう方から事前に聞いておきましょう。

用紙は全国の市区町村役場の窓口で無料で受け取れます。書き直しに備えて数枚もらっておくと安心でしょう。記入に使うのは黒のボールペンで、鉛筆・フリクションペン・消せるボールペンは使えません。

養子が15歳未満の場合は、本人に代わって法定代理人(多くは実親)が縁組を承諾し、届出人欄に署名します。これは代諾縁組と呼ばれる方式です。父母が共同で親権を持つ場合は、原則として父母そろって承諾します。なお、その子を監護している父母が別にいるときは、その方の同意も必要になります(民法第797条第2項)。親権や監護の状況によって必要な署名が変わるため、迷う場合は提出先の役場に確認してください。

養子縁組届の記入項目と書き方(項目別)

用紙は「届出人(養親・養子)記入欄」「証人記入欄」「役場記入欄」の3つに分かれています。役場の記入欄には手を触れず、記入するのは届出人と証人の欄だけ。養子縁組届の書き方は、この役割分担を押さえるところから始まります。

届出日・届出先 — 用紙上部に、提出する日付と届出先の市区町村名を記入します。届出先は、養親または養子の本籍地、あるいは届出人の所在地のある市区町村です。

氏名・生年月日・住所・本籍 — 養子になる人・養親になる人それぞれについて記入する欄です。氏名は戸籍上の漢字で正確に書き、住所は住民票のとおり、本籍は戸籍謄本で確認した本籍地と筆頭者名を記入します。

養子の父母と続柄 — 記入するのは、養子の実父母の氏名と、実父母から見た続柄。あわせて、養親から見た養子の続柄欄には「養子」または「養女」と書きます。

未成年者を養子にする場合、原則として家庭裁判所の許可が必要です。ただし、自己または配偶者の直系卑属(孫や連れ子など)であれば許可は要りません。

主要な欄の記入例は次のとおりです。

記入例
届出先東京都〇〇区長 殿
養子になる人 氏名鈴木 健太(すずき けんた)
養子 生年月日平成20年5月1日
養親になる人 氏名佐藤 一郎(さとう いちろう)
養親から見た続柄養子
養子の父母父 鈴木 隆/母 鈴木 美和

証人欄の書き方【記入例付き】

普通養子縁組の届出には、成人2名の証人による署名が必要です。これは民法第799条が婚姻の規定(第739条第2項)を準用しているためで、法律で定められた要件にあたります。

証人になれる条件はシンプルです。

  • 18歳以上で署名能力があれば、親族・友人・第三者のいずれでも証人になれます
  • 当事者本人(養親・養子)は証人になれません
  • 面識のない第三者でも証人になれます。頼める人がいないときは証人代行という選択肢もありますが、証人代行は署名を行うもので、法律相談・届書の作成代行・相手方との交渉はできません

証人欄には次の4項目を記入します。少なくとも署名(氏名)は証人本人が行う必要があり、住所・生年月日・本籍も戸籍のとおりに書き写しましょう。

項目記入例
氏名田中 花子
生年月日昭和55年3月10日
住所東京都〇〇区〇〇1-2-3
本籍東京都〇〇区〇〇4-5(筆頭者 田中 太郎)

2021年の法改正により、押印は任意になりました。押す場合は認印で構いませんが、シヤチハタ(インク浸透印)は使えません。外国籍の証人は、本籍の代わりに国籍(例:アメリカ合衆国)を記入します。

証人は届書の証人欄に署名する立場であり、縁組の可否を判断したり、法律相談や相手方との交渉を行ったりするものではありません。養育費や財産といった縁組の内容について責任を負うこともありません。ただし、虚偽の届出と知りながら証人になった場合は、公正証書原本不実記載罪(刑法第157条)に問われる可能性があります。

証人2名を頼める人がいないときは、証人欄への署名のみを代行するサービスも利用できます。当事務所の対応は署名代行に限られ、法律相談・届書の作成・交渉には対応していません。お申し込みはこちらからご利用いただけます。

証人欄の記入方法をさらに詳しく知りたい方は、証人欄の書き方(記入例あり)もあわせてご覧ください。

配偶者がいる場合は「同意」だけで足りないことがある

養親または養子に配偶者がいる場合、必要な署名はケースによって変わります。単なる同意で足りるとは限らない点に注意が必要です。

  • 成人を養子にする/配偶者が単独で養親になる場合 — 配偶者の同意が必要です(民法第796条)。この同意は証人欄では代替できず、「その他」欄に配偶者本人が署名します。
  • 未成年者を養子にする場合 — 原則として夫婦がそろって養親になる共同縁組が必要です(民法第795条)。この場合、配偶者も養親として届出人欄に署名します。ただし、配偶者の嫡出である子(多くは再婚相手の連れ子)を養子にするときなどは、単独で縁組でき、配偶者の同意署名で足ります。

「その他」欄に同意を記入する場合の文例は次のとおりです。

状況その他欄の記入例
成人養子・配偶者が単独で養親この縁組に同意する 養父の妻 佐藤 由美(署名)
成人の養子に配偶者がいるこの縁組に同意する 養子の夫 鈴木 大輔(署名)

必要な署名は、養子の年齢・親権・連れ子の戸籍上の続柄によって変わります。同意署名で足りるのか共同縁組が必要か判断に迷うときは、提出先の役場か専門家に確認してください。

書き間違えた場合の訂正方法

記入中に間違えても、正しい手順で訂正すれば受理されます。

  1. 間違えた箇所に二重線を引きます(修正液・修正テープは使えません)
  2. 二重線の近くに正しい内容を記入します
  3. 押印運用の役場では二重線のそばに訂正印を押します

押印が任意になったことで訂正の扱いも自治体によって分かれます。署名で訂正できる場合もあれば、訂正印を案内される場合もあるため、扱いは提出先に確認してください。訂正箇所が多く読みにくくなる場合は、無理に直さず新しい用紙に書き直す方が確実です。

養子縁組届のよくある記入ミス

養子縁組届の書き方でつまずくのは、不受理につながる記入ミスです。当事務所に証人欄の署名で届く養子縁組届でも、次のような不備が目立ちます。実際に最も多いのは、証人欄の本籍地が空欄のまま送られてくるケースです。

  • 本籍地を現住所で書いてしまう — 本籍と住所は別です。戸籍謄本で確認しましょう。
  • 証人欄の本籍・生年月日が空欄 — 証人に依頼する際は4項目すべてを記入してもらうよう明確に伝えます。
  • 配偶者に関する署名の漏れ — 配偶者がいる場合は、その他欄の同意署名や共同縁組の署名が必要です。
  • 養子の続柄欄の書き間違い — 「養子」「養女」を性別に合わせて記入します。
  • フリクションペンなど消えるインクの使用 — 保管中に文字が消えるため公的書類には使えません。

必要書類や提出先もあわせて確認したい方は、養子縁組届の必要書類と提出方法を参考にしてください。再婚で連れ子を養子にするケースは、再婚・連れ子の養子縁組手続きで流れを解説しています。

よくある質問

Q1:養子縁組届の証人は親族でないといけませんか?

いいえ、制限はありません。18歳以上で署名能力があれば、親族・友人・職場の同僚・面識のない第三者でも証人になれます。第三者が証人になること自体は制度上認められており、身近に頼める人がいない場合は証人代行の利用も選択肢です。証人の条件は証人になれる人の条件で詳しく解説しています。

Q2:押印は必要ですか?

2021年の法改正で押印は任意になりました。押す場合は認印で構いませんが、シヤチハタは使えません。任意で押印を案内される場合や、訂正方法の確認が必要な場合もあるため、不安なときは提出先に確認してください。

Q3:15歳未満の子を養子にする場合、誰が署名しますか?

15歳未満の場合は、本人に代わって法定代理人(多くは実親)が縁組を承諾し、届出人欄に署名します。これを代諾縁組といいます。

Q4:証人を頼める人がいない場合はどうすればよいですか?

面識のない第三者でも証人になれるため、証人代行サービスの利用が現実的な選択肢です。ただし証人代行は署名を行うもので、法律相談や届書の作成代行は行いません。当事務所は郵送で完結し、養子縁組の証人がいない場合の対処は養子縁組の証人がいない時の解決法でも紹介しています。

まとめ

養子縁組届の書き方は、役割分担と本籍の確認さえ押さえれば難しくありません。本記事のポイントを整理します。

  • 記入は黒ボールペン、本籍地は戸籍謄本で事前確認
  • 養親から見た続柄欄は「養子」または「養女」
  • 証人欄は成人2名の署名が必須。住所・生年月日・本籍も正確に記入(押印は任意)
  • 配偶者がいる場合は、同意署名で足りる場合と、夫婦共同で養親になる場合がある
  • 書き間違えは二重線で訂正、迷ったら新しい用紙で書き直す

証人欄の記入や証人2名の確保でお困りの場合は、きずな証人代行事務所にご相談ください。養子縁組届の証人2名分は税込3,900円、全国対応・最短翌営業日発送で、プライバシーを厳守してお手伝いします(料金・発送の詳細は申込ページに記載しています)。

なお、届出制度や様式の詳細は法務省 戸籍関係手続、証人要件の根拠条文はe-Gov法令検索の民法で確認できます。本記事は一般情報の提供であり、個別の法的判断は弁護士など有資格者にご相談ください。当事務所は証人欄への署名代行を行うもので、探偵業・興信所ではありません。

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