養子縁組には普通と特別の2種類があり、どちらが自分のケースに当たるのか分かりにくいと感じる方は多いはずです。名前は似ていますが、成立のしかたも戸籍の残り方もまったく違います。

結論から言うと、両者は成立方法・実親との関係・戸籍の記載が大きく異なり、届出書に証人が必要なのは普通養子縁組だけです。まずは比較表で全体像をつかみ、そのうえで一つずつ解説します。

普通養子縁組と特別養子縁組の違い早わかり比較表

主な違いを一覧にまとめました。

項目普通養子縁組特別養子縁組
成立のしかた役所への届出家庭裁判所の審判
実親との関係続く(二重の親子関係)終了する
養子の年齢制限なし(成人も可)原則15歳未満
養親の要件20歳以上(単身も可)夫婦共同・一方25歳以上/他方20歳以上
戸籍の記載養子・養女長男・長女など(実子に近い)
証人成人2名が必要不要(審判のため証人欄なし)
主なケース連れ子・孫・成人・相続対策実親が育てられない乳幼児

ポイントは、普通養子縁組が「実親との関係を残したまま親子を1組増やす」制度なのに対し、特別養子縁組は「実親との関係を切り、実子に近い形で迎える」制度だという点です。届出で完結するか、家庭裁判所の審判が必要かも大きく異なります。

たとえば同じ「子どもを養子にする」でも、再婚した相手の連れ子を迎えるのか、事情があって実親のもとで育てられない乳幼児を迎えるのかで、選ぶべき制度は別物です。前者は実親との関係を残す普通養子縁組、後者は実親との関係を整理する特別養子縁組が想定されます。名称の似た2つですが、目的も要件も別物として押さえておくと迷いません。

普通養子縁組とは(届出で成立する養子縁組)

普通養子縁組は、養親と養子(15歳未満は法定代理人)の合意にもとづき、役所へ養子縁組届を提出することで成立します。これは民法第799条が婚姻の規定(第739条)を準用しているためで、届出という手続きで効力が生じます。

大きな特徴は、実親との親族関係がそのまま続くことです。養子は実親とも養親とも親子関係を持つ「二重の親子関係」になり、どちらとの間にも相続権が生じます。

対象が広いのも普通養子縁組の特徴です。再婚相手の連れ子、孫、成人、家業を継いでもらう相手など、さまざまなケースで使われます。ただし未成年者を養子にする場合は、原則として家庭裁判所の許可が必要です。自己または配偶者の直系卑属(孫や連れ子など)であれば許可は要りません。なお、自分より年長の人や尊属(おじ・おばなど)は養子にできず(民法第793条)、配偶者がいる人が縁組する場合は配偶者の同意など追加の要件が加わることもあります。

戸籍には「養子」または「養女」と記載されます。そして届出書には、成人2名の証人による署名が必要です。証人欄の記入方法は養子縁組届の書き方で詳しく解説しています。

特別養子縁組とは(家庭裁判所の審判で成立する養子縁組)

特別養子縁組は、実親が育てられない子どもを、実子に近い形で迎えるための制度です。成立には家庭裁判所の審判が必要で、届出だけでは成立しません(民法第817条の2)。審判が確定した後に役所へ特別養子縁組届を提出しますが、これは成立を報告するための届出であり、証人欄はありません。縁組の成否を判断するのは裁判所だからです。

最大の違いは、実親(実方の血族)との親族関係が終了することです(民法第817条の9)。相続や扶養の関係も実親とは切れ、養親との一本の親子関係になります。ただし、夫婦の一方の連れ子を特別養子にする場合、その連れ子と実親側の一方との関係は残ります。

要件は普通養子縁組より厳格です。

  • 養子の年齢 — 原則15歳未満です(民法第817条の5)。2020年の法改正で、それまでの原則6歳未満から引き上げられました。審判時に15歳に達している場合は本人の同意が必要です。なお、15歳になる前から養親候補に監護されていた等の事情があれば、18歳未満まで認められる例外もあります。
  • 養親の要件 — 夫婦共同で縁組し、夫婦の一方が25歳以上・他方が20歳以上である必要があります(民法第817条の3・第817条の4)。単身では養親になれません。
  • 試験養育 — 養親候補が6か月以上養育した状況を踏まえて家庭裁判所が判断します(民法第817条の8)。手続きは特別養子適格の確認と縁組成立の二段階で進みます(家事事件手続法第164条の2)。

戸籍には「長男」「長女」などと記載され、続柄からは養子であることが分かりにくい形になります。

手続き・期間・費用の違い

手続きの重さも、2つの制度では対照的です。

普通養子縁組は、役所に養子縁組届を提出し、不備がなければその日に受理されて成立します。用意するものは届出書と本人確認書類などです。2024年(令和6年)3月の戸籍法改正で、本籍地以外の役所へ届け出る場合でも戸籍証明書(戸籍謄本)の添付は原則不要になりました。

一方、特別養子縁組は家庭裁判所への申立てから始まり、6か月以上の試験養育を経て、審判が確定するまで数か月から1年以上かかることもあります。児童相談所や民間のあっせん団体が関わるケースも多く、時間と手続きの負担は普通養子縁組より重くなりがちです。

費用面でも差があります。普通養子縁組は届出そのものに手数料がかからず、大きな金銭的負担はありません。特別養子縁組は家庭裁判所への申立てに収入印紙や連絡用の郵便切手が必要で、弁護士に手続きを依頼する場合はその費用も加わります。

つまり、届出で完結する普通養子縁組に対し、特別養子縁組は申立てから審判確定まで数か月以上を要し、試験養育や関係機関の関与を伴う手続きだと理解しておくとよいでしょう。

ケース別に見る選び方

身近なケースがどちらに当たるかを整理します。孫を養子にするのは、相続税の基礎控除を増やしたり、世代を飛ばして資産を承継したりする目的で選ばれることが多く、この場合に使うのは普通養子縁組です。ただし、相続税の計算で法定相続人に数えられる養子の数には上限があり、孫を養子にすると相続税が2割加算されるなど、税務上の注意点もあります。成人を養子にするケースも、家業や資産の承継が動機になることが少なくありません。特別養子縁組は子どもの養育環境を最優先する制度のため、こうした相続目的では利用できない点にも注意が必要です。

  • 再婚相手の連れ子を養子にしたい — 多くは普通養子縁組です。実親との関係を残しながら、養親とも親子になります。
  • 孫や成人を養子にしたい(相続・家業承継など) — 普通養子縁組です。特別養子縁組は原則15歳未満が対象のため使えません。
  • 実親が育てられない乳幼児を実子として迎えたい — 特別養子縁組が想定される場面です。実親との関係を終了させ、安定した家庭で育てることを目的とします。

どちらの制度も子どもの立場を左右する重い選択です。目的や子どもの年齢によって適した制度は変わるため、判断に迷う場合は役所や家庭裁判所、専門家に確認してください。連れ子のケースは再婚・連れ子の養子縁組手続きでも流れを解説しています。

証人が必要なのは普通養子縁組だけ

届出実務で押さえておきたいのが、証人が必要になるのは普通養子縁組だけだという点です。普通養子縁組は届出書に成人2名の証人署名が必要ですが、特別養子縁組は家庭裁判所の審判で成立するため、そもそも届出書の証人欄がありません。

当事務所に寄せられる証人代行のご依頼も、実際にはすべて普通養子縁組です。ご相談の中には普通と特別を混同されている方もいますが、その場合は特別養子縁組が審判手続きで証人欄を持たないことをお伝えし、証人代行は不要とご案内しています。届出書に証人欄がない以上、特別養子縁組で証人を用意する必要はなく、証人の準備が問題になるのは普通養子縁組を選ぶ方だけです。

普通養子縁組で証人2名を頼める人がいないときは、証人欄への署名のみを代行するサービスも利用できます。お申し込みはこちらからご利用いただけます。当事務所の対応は署名代行に限られ、法律相談・届書の作成・交渉には対応していません。必要書類の準備は養子縁組届の必要書類と提出方法、証人が見つからない場合は養子縁組の証人がいない時の解決法もあわせてご覧ください。

よくある質問

Q1:再婚相手の連れ子を養子にする場合はどちらですか?

多くは普通養子縁組です。届出書に成人2名の証人が必要で、家庭裁判所の許可は自己または配偶者の直系卑属(連れ子など)であれば要りません。実親との関係を終了させたい場合に特別養子縁組が検討されますが、要件は厳格です。

Q2:特別養子縁組でも証人は必要ですか?

不要です。特別養子縁組は家庭裁判所の審判で成立するため、届出書の証人欄そのものがありません。証人が必要になるのは、届出で成立する普通養子縁組です。

Q3:普通養子縁組でも実親との関係は切れますか?

切れません。普通養子縁組では実親との親族関係が続き、養親との二重の親子関係になります。実親との関係が終了するのは特別養子縁組です。

Q4:特別養子縁組の養子や養親に年齢制限はありますか?

養子は原則15歳未満、養親は夫婦の一方が25歳以上・他方が20歳以上です(民法第817条の4・第817条の5)。普通養子縁組には養子の年齢制限がなく、成人を養子にすることもできます。

Q5:証人を頼める人がいない場合はどうすればよいですか?

普通養子縁組であれば、面識のない第三者でも証人になれるため、証人代行の利用も選択肢です。ただし証人代行は署名を行うもので、法律相談や届書の作成代行、相手方との交渉は行いません。

まとめ

普通養子縁組と特別養子縁組の違いは、成立方法と実親との関係に集約されます。要点を整理します。

  • 普通は届出で成立・実親との関係が続く・戸籍は「養子/養女」・証人2名が必要
  • 特別は家裁の審判で成立・実親との関係が終了・戸籍は「長男/長女」等・証人欄なし
  • 特別養子縁組は原則15歳未満・養親は夫婦・6か月以上の試験養育が必要
  • 連れ子・孫・成人は普通、実親が育てられない乳幼児は特別が想定される

普通養子縁組の証人でお困りの場合は、きずな証人代行事務所にご相談ください。証人2名分は税込3,900円、全国対応・最短翌営業日発送でお手伝いします(特別養子縁組は審判手続きのため証人代行の対象外です)。

なお、養子縁組の条文はe-Gov法令検索の民法、特別養子縁組の制度概要はこども家庭庁の解説で確認できます。本記事は一般情報の提供であり、個別の法的判断は弁護士など有資格者にご相談ください。当事務所は証人欄への署名代行を行うもので、探偵業・興信所ではありません。

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